奈良時間観光 旅の楽しみ奈良公園とその周辺3

2019年5月9日

“常識とは18歳までに身に付けた偏見のコレクションのことをいう”
― アインシュタイン ―

浮御堂

奈良公園の近くに浮御堂がある。風光明媚な池である。が、さすがに桜の季節は満員である。
あちこちに外国人観光客がいるが、日本人は少ない印象である。

京都などは特にそうであるが、外国人観光客があまりいない所を意識して動いているのであろう。友人からも『京都は外国人ばっかりなので行かない…』と言った発言をよく聞くようになった。

浮御堂での子供の遊びはボートであろう。以前は30分800円と記憶していたが、今では1,000円に跳ね上がっている。観光特需か…。勘違いなら申し訳ないが、奈良こそはそんなせこい値上げはしないで欲しかったところである…。

某焼き鳥チェーンではないが、お客は値上げにも敏感である…微々たる金額の値上げでも、『儲けようとしてるな』と思えば途端に心が離れるのが人情であろう…。外国人観光客が減った時にも地元から愛され続けるスタイルは重要であろうと想う。

浮御堂での息子の楽しみは亀を捕まえる事…桜より亀。浮御堂には甲羅干しをしている亀が岸辺にいるのだが、ボートで忍び寄り?亀を捕まえるのが息子には桜を愛でるより重要任務である…。

男の子は何歳になっても面白い事をしてくれる生き物である。浮御堂でボートをこぎながら亀を捕まえる人は他には見当たらない…今年で中二になるが大丈夫なのか…。

浮御堂での真面目なボートの楽しみ方は、浮御堂の池に桜の木々が垂れ込めている場所があるのだが、そこを通過することである…非常に趣があって、それはまさに古の貴族の気分とでも言おうか…大変優雅な気分になるのである。桜のシーズンの楽しみ方の一つである。

しかし、そんな気分も一瞬しか味わう事は叶わないのが子連れ旅であろうか…
息子『桜じゃま!顔に当たるし!』
息子『亀いた!あっちに漕いで!』
娘『おっきい魚!あっちあっち!』
娘『ほら大きな鳥がいる!あっちに行って!』
娘『池の水を触ってもいい?』
パパ『ちょっといきなり立つなって!』
娘『もっと早く動かして!』
息子『うわー岸に衝突する~』

とてもじゃないが天平文化を優雅に感じる時間は与えてもらえないのである。風情よ奈良時間よ…カムバック!

【奈良町】

奈良町に行く途中で、奈良ホテルの喫茶に寄りたいのであるが、子持ちでは叶わない願いであるので泣く泣くパスする。

奈良町については観光ガイド情報がそこかしこにある…のであるが…奈良町を楽しむ一つには、そこを目指して歩くだけではなく、そこにいる時間を楽しむことが肝要であろう。

目的地がないと楽しめないのは、貧相な旅であろう。

嫁『あの蚊帳の店は…う~ん?』似たような建物で道順が分からずスマホで検索。
目的の店までスタスタ歩く。いや…それはそれで間違いない。うん…間違いないのである…。奥さん…間違いないのではあるが・・・

古都奈良に至っては楽しみ方が違うのである。

そう、その時に歩くその路の空気雰囲気、ポッと視界に入ってくるお店に出会うこの緩やかな時間を楽しむのである。

嫁『迷う時間がもったいない』

仰る通りなのであるが…『奈良時間観光とは…』と言い出せないので、少し奈良時間を早めるしかないのである。しかし、ぶらぶら歩いていると、嫁のお眼鏡にかなうお店を発見。

『こんな店知らなかった、出来て3年ぐらいらしい、趣味がいいし置いている物がいい。』
『な?あてもなく歩くのも…』と言いかけるが…

『上から目線』と言われるのが落ちなので黙って娘を肩車しておこう…目的が無い奈良の旅の面白さも分かって欲しいものである。

そう、奈良時間観光は目的地に着くことだけが旅ではないのである。

【県庁R】

県庁の屋上が意外と穴場である。

集団の観光客はあまり来ないので、日曜日でもゆっくり奈良の街が一望できるスポットである。奈良で一番高い建築物、興福寺五重塔を真横に見る事ができる。

観光客のいない屋上でゆっくり腰を掛け、若草山を見ながら…また奈良市街をみながらのんびり出来るのである。

…しかし一回も座る事無く一階に戻る…そう、子連れじゃなければ…の話である。

県庁の入り口には、ひっそりと「せんとくん」がたたずんでいるので、記念撮影も可能である。きもかわキャラとは言いにくい、なんとも言えない「せんとくん」。

なぜこんなキャラクターが選ばれたのか、今でも不思議でならない。

京都の「まゆまろ」に並ぶ二大意味不明キャラに個人的には認定している。これが千年都市の系譜なのであろうか。嫁の評価は「まゆまろ」と共に過去最低ランキングなのは言うまでもない。

もちろん娘も気持ち悪がって写真におさまろうとはしないことはさらに言うまでもない。

【くるみの木】

嫁のお気に入りのお店の一つが「くるみの木」である。

ちょい意識高い系が集うお店と言えばいいのか。個人的にも奈良では好きなお店の一つである。子供ほどショッピングに興味が無い生き物もいないので、ここは奥さんおひとり様でゆったりして頂く為に、こちらは子供のお相手をしながらやり過ごす。

嫁のショッピングには付き合わないのが賢明である。

買うのか買わないのか分からない事態が多く、そこまで聞いといて…結局買わないという事もざらであるのだ…付き合う側の疲労感が半端ないのである。

かと思えば、以前某店でブーツ二足のどちらを買うのかさんざん迷ったあげく…『両方下さい』と突然言い切る猛者でもある。そうか…迷って決めきれなければ、二足とも買うという選択肢があったのかと、貴重な勉強をさせてもらえるのである。

お菓子を選びきれずに『二つはダメ?』と聞いてくる娘には『お菓子は一つだけ!』と厳格に躾けるが、二足合わせて10万円のブーツは…奥様はいいのね…そうである、奥様は決められなかったのだから二足買いでもいいのであろう…。しかし…これも温かく見守るしかない。

余計な事を言えば藪蛇になってしまう。

今日は特に気持ちが乗らなかったようだ「アルルの塩」と「干し柿」のみ購入にホッとする。

“主人はたいてい、その家の一番偉い召使い”   ― 英国諺 ―